コニースタイ、
はじめはスタイではなかった?
コニースタイ、
はじめはスタイではなかった?
by Erin Lim 2024.08.06
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、コニーが商品を開発する時のアイデアは、出どころを選びません。子育てをしながら、毎日のように感じる不便さから、お客様のレビュー、インスタグラムのコメント、公式サイトの「お客様提案コーナー」(*韓国のみ)育児中の友人の何気ない一言まで。あらゆる場所でジャンルを問わず、「子育ての中で感じる不便さ」の声や体験をきっかけにコニーの商品開発は始まります。
2020年のある日、私は下の子を寝かしつけたあと、リビングで横になりながらインスタグラムのコメントを読んでいました。そのとき、ふと目に止まったのが「うちの子どもが抱っこ紐の肩紐部分をよく舐めてしまいます。コニー抱っこ紐用のよだれカバーを作ってほしいです」というコメントでした。それを目にしたとき、それが他人事じゃないと気づいたんです。まさに、我が家の抱っこ紐も10分前まで濡れていました!
グラデーションっぽく見えますが、実は全部よだれでできた地図です。
今思えば、私がコニーの抱っこ紐を初めて開発したとき、長男は何でも口に入れたがる時期を過ぎていたんです。 それに、長男はあまりよだれが出るタイプではなかったので、コニーの抱っこ紐をテストしていた時期も、肩紐を舐めることはほとんどありませんでした。 でも、下の子は新生児のころから抱っこ紐に包まれて、長男のスケジュールに付き合わされていました。まるでお兄ちゃんの付き添いのような毎日を送っていました。 そしてよだれ全盛期になると、まるで滝のようによだれがたくさん出るようになりました。 次男を抱っこしている時の抱っこ紐は、いつもびしょ濡れ状態でした…
抱っこ紐?それとも歯固め?
コニー抱っこ紐専用のよだれカバーを作ろうとトライしたことは、これまでも何度かありました。 一般的な抱っこ紐は肩紐がリュックの肩紐のように細く、赤ちゃんは主にその紐を舐めます。 なので肩紐の周りを別の布(=よだれカバー)で覆って固定すればいいだけです。 しかし、コニーは赤ちゃんの体重を上半身全体に分散させる幅広い肩紐のため、カバーを装着できる場所がなく、 部材も最小限(=ボタンやフックなどもない)というシンプルなデザインのため、よだれカバーを取り付けたり固定する方法がありませんでした。
"磁石で固定しよう、ボタンやスナップを付けてつなげてみよう、など様々なアイデアが出ましたが、 コニー抱っこ紐のシンプルな形をどうしても崩したくはありませんでした。
「もっとシンプルに、もっと簡単に解決できないだろうか?お客様は、ただ赤ちゃんが抱っこ紐を直接舐めないようにしてほしいだけなのに…」 そんなことを悶々と考えていたとき、ふと、抱っこ紐の上からカバーを乗せてみるのはどうかと思いつきました。 お客様は「よだれカバーを作ってほしい」ではなく、「赤ちゃんが抱っこ紐を直接舐めないようにしてほしい」だけだったのです。 お客様のニーズにシンプルにフォーカスすることで、解決の糸口が見えてきました。
この商品のデザインをはじめた時、私は一つのルールを決めました。 「キャリアタイプの抱っこ紐に付けるよだれカバーのように、抱っこ紐にしか使えない形にはしない」とのことです。 上の子を育てていた時に使った抱っこ紐専用のよだれカバーは、その抱っこ紐でしか使えないものでした。 他のブランドの抱っこ紐とは互換性がなく、友達に譲ることもできませんでした。 私はいち消費者として、勿体無いことをした、残念な買い物をした気分になってしまいました。
私はコニーを選んでくださったすべてのお客様に「良いお買い物ができた」と感じてもらいたいのです。 そのためには品質、価格、デザインのすべてにおいて満たされなければなりません。 "特に、デザイン面では特定の使い方があるとしても、より幅広く、 様々な場面で使えることを想定して作られていることが良いデザインだと思います。" ひとつの役目を終えたら捨てるのではなく、より長く使えるように。 そうすることで、お客様に満足していただき、さらに周りの人に贈ったり、おすすめできるような商品を作りたいと思っています。 そのために私たちは、デザインについてもっと深く考える必要があります。 お客様の満足を満たし、より長く使えるデザインにする。
抱っこ紐のよだれカバーをより広い視点で考えてみたら、スタイとしても使えるかもしれない、ということが見えてきました。 使用する期間も同じで、よだれを吸収する機能面においても同じです。 そこで一般的なスタイをモチーフにして、サイズを調整し、形を整えました。 "一般的なスタイは前側だけが長く、横から後ろにかけて細くなる形が多いですが、 コニーのスタイは抱っこ紐に付けられるものにするため、前後左右関係なく同じ幅であることが必要でした。" そして最終的に、前も後ろも同じ幅の円形にすることにしました。
抱っこ紐のよだれカバーをより広い視点で考えてみたら、スタイとしても使えるかもしれない、ということが見えてきました。 使用する期間も同じで、よだれを吸収する機能面においても同じです。 そこで一般的なスタイをモチーフにして、サイズを調整し、形を整えました。 "一般的なスタイは前側だけが長く、横から後ろにかけて細くなる形が多いですが、 コニーのスタイは抱っこ紐に付けられるものにするため、前後左右関係なく同じ幅であることが必要でした。" そして最終的に、前も後ろも同じ幅の円形にすることにしました。
薄くて柔らかい綿素材で第1回目のサンプルを作りました。 結果はとても満足いくものでした。
抱っこ紐で使う時は「よだれカバー」、降ろしたらそのまま「スタイ」に変身!
最初のサンプルテストを通じて、2つの仮説を検証したら、この商品に大きな可能性が見えてきました。
一つ目:よだれカバーとして、きちんと機能する 一般的なよだれカバーよりも幅広くデザインしてみたところ、赤ちゃんが抱っこ紐ではなく、カバーを舐めるようになりました。 抱っこ紐の内側にうまく形を整えることで、思ったよりしっかりと固定もできたので 抱っこ紐に直接取り付けたり、固定しないと機能しないと思われていたアイテムが、そうしなくても十分に使えるとわかったのです。
二つ目:抱っこ紐用よだれカバーが、そのままスタイとしても使える(重要) スタイから着想を得たシンプルなデザインだったからこそ、抱っこ紐で抱っこされているときはよだれカバーとして、降ろした瞬間にスタイになりました。 どちらも“よだれを受け止める”という機能は同じ。 育児をする人にとって、抱っこ紐用とスタイを分けて購入する必要がなくなったのです。(一石二鳥!) さらに、よだれカバーとしてデザインしたので、幅広のローリングデザインにしました。 そのため、一部分が濡れてしまっても、くるくる回せば360°使えるようになりました。 このようなデザインにすることで、スタイとしても長く使えるアイテムになりそうだと感じました。
一方で、改良すべきポイントも2つ見えてきました。
「① 速乾性があり、しっかりとした素材を見つけること」 最初のサンプルを薄手のコットン素材で作ったのには理由があります。 赤ちゃんのよだれが出始めた頃、ガーゼを何層にも重ねた「吸収力最強!」と思われるスタイを使っていました。 確かに吸収力は抜群でしたが、厚みがあるせいか乾きが悪く、すぐに重たくなって湿った状態になってしまいました。 そこで、今回はガーゼではなく、薄くて吸水性の高いコットン素材を使ってみたところ やわらかすぎてスタイの形を保つことが難しく、ガーゼと比べても乾きが早くなったという実感は得られませんでした。 つまり、「薄くても速乾性が高く、しっかりとした素材」を新たに探す必要が出てきたのです。
私は、かわいい子どもの顔よりも、
使い勝手の悪いスタイに目が行ってしまうプロの
「育児の不便さ発見ママ」です
自社開発した生地でコニー抱っこ紐を製造・販売していた私は、オリジナル生地を企画する事の大変さを良く知っていたため、 スタイ用の新素材開発をゼロから始めるのは、途方に暮れるような状況でした。 長い旅になると覚悟した記憶があります。 コニー抱っこ紐の生地づくりを始めた時みたいに。
そんなことを考えていたら、ふとコニー抱っこ紐が目に留まりました。 薄手なのに、赤ちゃんの体重にもしっかり耐えられる、丈夫で復元力のある生地。 赤ちゃんが直接舐めても大丈夫な厳しい基準を設け 頻繁な洗濯にも耐えられる強い耐久性、素早い吸湿性と速乾性、 有害な細菌の繁殖を抑える抗菌機能、 蛍光増白剤や定着剤を使用しない安心の製造工程、 そしてアメリカ・ヨーロッパ・韓国の厳しい基準をすべてクリアした生地だったのです。 そこで、次のサンプルは、コニーの技術とノウハウが詰まった「コニー抱っこ紐の生地」を使って作ってみることになりました。
同時に、より完璧な使用感を目指しました。 抱っこ紐に直接固定しないタイプのよだれカバーとして使うために 抱っこ紐の上にしっかりとフィットする形状と、 スタイとして使う時には赤ちゃんの肩を包み込むような着用感を大事にしたいと思いました。 デザインを少し工夫をすれば、やわらかさと形状の安定性をより改善できるのではないか。
犬用のエリザベスカラーが頭に浮かんだのは、その時でした。 よだれカバーとして使うときは、犬用のエリザベスカラーのように逆さまの円錐形になれば、抱っこ紐にもしっかりとフィットし、 スタイとして使うときは、赤ちゃんの肩のラインに沿ってよりフィットするだろうと想像ができました。
それから数週後、コニー抱っこ紐の生地で作ったサンプルが届きました。
久しぶりに胸が高鳴る瞬間でした。 かつて、コニー抱っこ紐の初サンプルが届いたときのように!
こちらで紹介された
コニースタイが気になるなら?